せいろで蒸すとなぜ美味しい?和せいろの使い方とかんたんレシピをご紹介

せいろで蒸すとおいしい

わたしはせいろ愛用者です。その昔香港で買ったせいろをボロボロになるまで使い、今は台湾で買った安物のせいろを毎日のように使っています。

ステンレスの蒸し器も所有しているのですが、なんとなくせいろに手が伸びる。それはなんとなく美味しさがアップするような気がするからだと思うのですが。

でもなぜなのかはあまり深く考えたことはありませんでした。同じ「素材を温めて柔らかくする」作用のある電子レンジとの違いも。

今回、にちにち道具の和せいろを使ってみて、あらためて「せいろで蒸すとなぜ美味しいのか?」を深く考えてみたいと思います。

 

目次

①せいろで蒸す、電子レンジで蒸す、どう違う?
②和せいろと中華せいろって何が違う?
③にちにち道具の和せいろはこんなにすごい
④専用の段付き鍋がなくてもこれがあれば!
⑤和せいろの使用方法
⑥和せいろを使ったリアルかんたんレシピ
⑦和せいろのお手入れ方法

 

①せいろで蒸す、電子レンジで蒸す、どう違う?

蒸される原理 直火と電子レンジの違い

同じ温めて素材を柔らかくするのでも、せいろ(蒸し器)と電子レンジでは出来上がりがすごく違う気がします。それはなぜか。

それは加熱の原理に理由があるということなのです。※

せいろ(蒸し器)の場合:
水蒸気で素材の外側から穏やかに加熱するので、素材の水分や脂が保たれる。

電子レンジの場合:
マイクロ波が吸収され水分子の摩擦により発熱する。食材内部の水分が直接加熱され内部から急激に温度が上がるため、食材がパサついたり硬くなったりすることがある。

化学ですね!

 

せいろ(蒸し器)のメリット、電子レンジのメリット

蒸される原理が違うふたつの方法ですが、もちろんメリットもそれぞれあります。

電子レンジは圧倒的な調理時間の速さ、短さが魅力。素材によってはパサつきや表面の硬さが気にならないので、(例えば野菜の下ゆででも根菜類ならば上手にできるなど)電子レンジ調理に向いている素材ならば蒸し器に比べて加熱時間を大幅に短くできます。※

でも、ほとんどの食材はせいろ(蒸し器)のほうがおいしくできることも事実。

調理時間はちょっと長くかかりますが、お湯さえ切らさなければほおっておけるので、他の調理をしながらだったら加熱時間の長さも意外と気になりません!

毎日のようにせいろを使っていて思うのですが、蒸し時間は意外とアバウトでもよくて、厳密に蒸す時間を気にしなくてもいいのです。これも電子レンジ加熱とは違いところ。

 

※参考:都市計画研究所 蒸し調理に関する研究https://www.toshiken.com/report/report/docs/food26-summary.pdf
こちらはサマリーですが、全部読みたい場合はレポート全体のダウンロードを申し込むこともできます。とても興味深いレポートでした!

 

②和せいろと中華せいろって何が違う?

さて、せいろというと、中華街で点心がどんどん蒸されるイメージ、いわゆる「中華せいろ」が思い浮かびますが、もうひとつ和せいろという「積み重ねない」せいろがあります。

この二つ、どう違うのか?わたしもよく知りませんでした。

中華せいろの特徴

私も毎日使っている中華せいろ。
2〜3段積み重ねて使うことができ、同時に複数のお料理を蒸すことができるのが特徴。
深さがないので、容量は比較的小さく、お皿をいれるときも浅いものでないと難しい。

和せいろの特徴

和せいろは重みのある蓋で蒸気を閉じ込める為、中華せいろより早く蒸し上がる特徴があります。
さらに、深さがあるので食材がたくさん入る(一度に蒸せる・深い器もらくらく入る)
さらに、今回使ってみて一番いいな、と思ったのが、すのこを取り外して洗えるところです。
これは中華せいろに比べてお手入れが楽です。

③にちにち道具の和せいろはこんなところがすごい


ひのきの本体とさわらの蓋

今回ご紹介する「にちにち道具」の和せいろは、ひのきの本体、さわらの蓋でできています。
美しい形と色、丁寧な仕上げ。ひのきのいい香りがします。


せいろ本体は、岐阜県中津川市付知町の職人さんが作っています。(お弟子さんも含めてほんの小人数で丁寧に作っていただいているそう)
また他の和せいろとはひと味もふた味も違う美しい十字桟の蓋は、お一人の職人さんだけで作られています。(十字桟を蓋に付ける技術が、この方だけのものだそうです)

毎日使うものが美しいとうれしいですよね。

なお、手作りゆえ、ひとつひとつ顔が違います。

例えば、せいろをとめている桜皮が一部が欠けていたり、ささくれていたりする、桜皮を縫い込んでいる木の切れ目や桜皮自体の見え方にばらつきがある、巻いたせいろの縁が少し割れている、かけている、中のすだれの端が少し割れているなど。

メーカーさんによると、これらは商品ひとつひとつの個性で、使用には全く問題ないので、安心して使ってほしい、とのことでした。


④専用の段付き鍋がなくてもこれがあれば!

和せいろといえば段付き鍋というお鍋をセットにして使うのでは?と思うのですが、実は「受け台」というアイテムがあればどんなお鍋でも使えるのです。

受け台の使用で径の合う鍋にセットが可能です。
深めのフライパンやお鍋で使用出来るのもうれしいですね!

 

こちらのフライパンは深さがあるのでお湯をたくさん沸かした状態にしやすく扱いやすいです。和セイロと一緒に使うお鍋(フライパン)としておすすめ!
蒸し布もあったほうがよい道具です。水分を程よく吸い、おこわや重ね蒸し等にも便利。蓋からの水滴を食材に極力落としたくないときや、蒸し揚がった後お皿を取り出したいときにも使えます。

⑤和せいろの使用方法

ご使用前に水又はぬるま湯をせいろ全体にまんべんなく潜らせて、充分に濡らしてからご使用ください。
乾燥している状態で使用すると、せいろが焦げる可能性を避けるためとのこと。
また、肉や魚を蒸すときは、クッキングペーパーやキャベツを敷くと汚れが付きにくいのでおすすめ。

 

⑥和せいろを使ったリアルかんたんレシピ

わたしが日常的に自分の中華せいろを使って作っているレシピを、和せいろで試してみました。(今回は2サイズあるうちの大きなほう(21cm)を使用しています。

その1.キャベツをただ蒸すだけ

和せいろだとキャベツ半分がほぼ1回で蒸せました。
(蒸気があがってからせいろをのせて、約5分)


いつももっと小さく切って蒸しているのですが、和せいろの深さと活かしてできるだけ大きなままで!(ほぼざっくり切っただけ!料理までいっていません!)

でも、蒸しキャベツは作っておくとすごく重宝するのです。(特に大きく切ったままだとアレンジしやすい)

まず、せいろで蒸すことによって、キャベツが劇的に甘くなる!そして柔らかいけれど決してぐずぐず食感というわけでない。冷めても内部に水分が蓄えられています。

蒸したてはおいしいオリーブオイルとおいしい塩のみで食べたり、酢醤油で食べたり。

その後はスープやお味噌汁の具にしたり、オムレツに混ぜたり、といった料理の素になったり。

これもせいろで蒸すと野菜のおいしい味が引き出されて、おいしい状態になるから可能なことだな、と思います。

容量が大きな和せいろの実力を感じました!

 

その2.市販の豚まんをただ蒸す

これこそ、せいろを使うことで全然違う美味しさになる食材!

早く食べたいからと電子レンジを使いがちですが、一度せいろで蒸したものを食べてから電子レンジには戻れなくなりました。

蒸気が上がってから約10分蒸したところ。

なんといってもお饅頭生地がしっとりふわふわ。乾燥してちょっと表面が硬くなったり(電子レンジで何も考えずにあっためるとなりがち)することもなく、ものすごい幸福感です。

21cmの和せいろには3個入りました。

この豚まんは底に紙がついているのでそのまますのこに乗せましたが、汚れが気になる場合はキッチンペーパーやキャベツの大きな葉、蒸し布等を敷くといいと思います。

その3.ひとりご飯セットを一気に蒸す

和せいろは高さがあるので、ちょっと深めの器を入れることができます。平皿にはシウマイ、ボウルには野菜と割入れた卵、サクラエビなどを入れ、一緒に蒸すこと8分〜10分、あつあつのひとり分のプレートご飯(おかず)が完成です。

せいろをそのままお皿に乗せてテーブルに運べばただ温めたとは思えないなんとなく豊かなひとりご飯に。

ボウルに野菜を入れて蒸すと、野菜からおいしいスープがにじみ出るのをそのまま食べることができるのもいいところ!

今度は卵をもう少し半熟にしたほうが良さそうなので、時間差でボウルをいれる等もう少し工夫しようかと思います。

その4. パン温め&ゆで(蒸し)卵

せいろでパンを温めると、トースターで焼くのとは全く違う味になりますね!やはりいい感じで水分を保ったふわふわもちもち食感。

ハード系のパンをこういうふうに食べるのもなかなか新鮮です。

そして、ゆで卵ならぬ蒸し卵
こちらは冷蔵庫から出したての卵を蒸気が上がってから約8分、これで半熟な感じになりました。

パンも卵もせいろで一度にできちゃうのがうれしい!

 

その5.今後試したいおしゃれレシピ
かにおこわのせいろ蒸し

こちらは、今後絶対作ってみたいおしゃれレシピ。ご紹介します。

おこわは和せいろだからおいしくできるメニュー。ぜひやってみたい。

 

【かにおこわのせいろ蒸し】
(4人分)

材料

もち米 2カップ
かにのむき身(缶) 50g
うずらの卵(水煮) 6個
干し椎茸 2枚
干しえび 15g
焼き豚(市販品) 50g
ごま油 大さじ1
サラダ油 大さじ1/2
木の芽 5枚

(A)
しょうゆ 30ml
酒 大さじ1
砂糖 大さじ1と1/2
塩 小さじ2/3

作り方

①もち米はたっぷりの水に2~3時間浸水しておく。干し椎茸、干しえびはそれぞれ水で戻し(合計で50mlの戻し汁をとっておく)汁気を切ってそ れぞれ1㎝角に切る。焼き豚も1㎝角に切る。(A)の材料を混ぜあわせておく。


②油を入れて熱したフライパンに干し椎茸、干しえび、焼き豚を入れて軽く炒めて、水分を切った①のもち米を加えてさらに炒める。表面が透き 通ってきたら(A)と①の戻し汁(50ml)を加えて水分がなくなるまで炒め合わせる。


③和せいろに蒸し布を広げ、②、かにの順に乗せたら蒸し布をたたんで蓋をする。蒸気の上がった鍋に蒸し板をのせ、和せいろを置いて強火で30分 蒸す。蒸し上がりにうずらの卵と木の芽を飾る。


 

⑦和せいろのお手入れ方法

お手入れ難しそう・・・と敬遠されがちなせいろですが、実は意外と簡単。とにかく以下を守ればOKだと思います。

合成洗剤を使わずにしっかり洗い、よく乾燥させる

詳しくはこちら↓

 

【水洗いで】
合成洗剤を使わず、粉状のクレンザーか塩を使い、丁寧に汚れを洗い落してください。洗浄後、せいろの内側に消毒用アルコール(エタノール)を霧吹きしておきますと、黒ずみやカビの発生を抑制できます。

【乾燥させる】
風通しの良いところで充分に日陰干しをしてください。直射日光に干したり食器乾燥機での乾燥は、急激な乾燥により木部の割れや反りなど変形の原因になるので、絶対にお止めください。

【保管】
1ヶ月以上使用しない場合は、直接空気に触れさせないために、紙か綿布などに包んで保管してください。保管場所は、温度変化が少なく湿気のないところが最適です。

 

蒸すっていいですよね

せいろで蒸す、それだけで大体なんでも美味しくなるとは結構すごいことでは、と思います。

お湯さえ切らさないでおけば、あとは少々蒸しすぎでも大失敗しない。
ご飯の用意をするときに、最初に湯を沸かしてせいろをセットすれば、ほったらかしでも食べられるものができてしまいます。

ほかほかでしっとり、食材の旨味を逃さず食べられる蒸し料理。

ぜひ毎日のご飯作りに和せいろ、使ってみてほしいです!

Writer Profile

morita

気づけばワイ・ヨット歴〇〇年以上。
紅茶と台湾茶が好きで、お菓子との食べ合わせを考える毎日。いつもおいしいものを食べたいです。

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