南部鉄器の鉄急須で楽しむお茶とお菓子
南部鉄器という言葉を聞いたことありますか?ざっくりいうと岩手県でつくられている「鉄鋳物」のこと。(なお、鉄鋳物というのは、溶かした鉄を、鋳型に流して形づくったもののことをいいます。)
すき焼き鍋や急須、鍋敷きなどが代表的なアイテム。
特に急須型のものは、ずっしり重くて、風情がある形。いつかほしいな、と憧れている人も周りで多いです。
しかし、この「急須型」のアイテム。なんとなく、お湯をいれて使う?急須のような?鉄器、とぼんやり認識している場合が多いこの品、実は「鉄急須」と「鉄瓶」と二つあり、この二つは全く別物なのをご存じでしたでしょうか?
お湯を沸かすなら、「鉄瓶」、お茶を淹れて楽しむなら「鉄急須」を選ばなくてはいけません!
今回は、「鉄急須」と「お茶」のお話しをしようと思います。
1.鉄急須と鉄瓶の違い。鉄急須とは?「良さ」と「できないこと」
2.お茶とお湯の温度 おいしい淹れ方
3.お茶とお菓子のおいしい組み合わせ
1.鉄急須と鉄瓶の違い。鉄急須とは?「良さ」と「できないこと」
鉄急須ってなに??いったい鉄瓶とどう違うの?
鉄急須は、その名の通り、お茶を淹れて楽しむ鉄の急須です。
鉄瓶との違いは
●内側にホーロー加工が施されているところ。
●茶漉しがついていることが多いこと。
そのため
●お手入れ簡単(内側がホーロー加工されているので基本的にはサビがでにくい)
●洗剤で洗えるので匂いが残りづらい。
といういいところがあります。
いわゆる「鉄瓶」の違いは、
●直火にかけられない
●お湯をまろやかに、白湯を飲みたい、というニーズには答えられない(内面にホーロー加工されているので)
●同じく内側にコーティングがあるので、鉄分がにじみだすことはない
といったところでしょうか。
●割れにくい、自ら使って、アンティークにしていく楽しみも。
そしてなにより、鉄急須は、見た目がすてきです。
欧米ですてきなティールーム等で使われたりしたこともあり、逆輸入のような形であらためてその意匠のすてきさに気づかれた、といった側面もあると思います。
さらに、ガラスや陶器のティーポットと比べて耐久性が高いので、(割れにくい、形がかわりにくい)ほぼ一生ものといっていいぐらい。
代々受けつぎことができそうな一品です。
また、鉄急須ならではの、おいしくお茶を楽しむことができるポイントもあります。
●茶漉しつきで手軽
●保温力抜群
保温力があるので、お茶を淹れる際のお湯の温度をコントロールしやすいのもいいところです。
当店おすすめの鉄急須は、日々道具(にちにちどうぐ)のオリジナル、オイゲンさんで作っていただいているたまご型鉄急須です。
ころんとした丸い形、鮮やかできれいなカラーが自慢のお品です。
2.お茶とお湯の温度 おいしい淹れ方
お茶にはいろいろな種類がありますが、それぞれのお茶には淹れるのに最適な湯の温度があります。
鉄急須でお茶を淹れるといいこと、それは鉄急須の保温性がすごく高いので、最適な温度を保てることなのです。
わたしが個人的に楽しんでいる、鉄急須でのおいしいお茶の淹れ方をご紹介します。
①鉄急須をあたためる
保温力があるので、一度温まると冷めにくい!温度を保ちやすいです。
②温まった鉄急須に、お茶の葉をいれ、蓋をする。一呼吸おいて蓋を開ける。
温まったお茶の葉の香りを楽しんでください!リラックス効果ありです。
③お茶の葉にあわせて、最適な温度にしたお湯をいれる
しつこいようですが、温度を保ちやすいのでおいしく淹れられる気がします。
煎茶は70度~80度で淹れるのがおいしいです。
これはお茶の渋みが高温で抽出されてしまうからで、旨味や甘味をより感じやすくするには低めの温度がよいです。
沸騰したお湯をケトルからピッチャーなどに移して冷ますか、早く適温にしたい場合、私は氷で調整したりもします。
お湯の適温を知るにはやはり温度計が便利なのですが、これが使いやすくておすすめです。
しかし、めんどうなことしたくないなあという場合は、最近いろいろ発売されている温度調節機能付きケトルがいいです。電気ケトルが狙った温度にしてくれます。
私もかなりほしいです。(購入検討中です。)このラッセルホブスのティーケトルはデザインも素敵です。
逆に渋みや香ばしさを前面に感じたいお茶に関しては、100度のお湯で淹れます。
ほうじ茶や紅茶などはこちらです。
お茶は香りが命なので、保存状態も大事です。茶缶にいれて、香りがとばないように、他の臭いができるだけ移らないようにしたいもの。
こんな見た目もすっきり、機能性抜群の茶缶がおすすめ
また、茶葉も適当にいれず、適量を計っていれるのが大事。その際活躍するのが茶葉サーバー。つちめの風合いのいいしっかりした茶さじです。
少し気を使うだけで、同じ茶葉でもびっくりするくらい香りよく、おいしく淹れられたりすることがあるのが、お茶のおもしろいところだと思います。
3.お茶とお菓子のおいしい組み合わせ
最後に、お茶とお菓子の食べ合わせについて、少し。
一緒に食べるお菓子との相性が抜群にあった時のお茶が、それだけで飲むよりも100倍美味しく感じることがあります。
食べ合わせ、組み合わせの妙だと思うのですが、自分なりのこれだ!という組み合わせに出会ったときはうれしくなります。
いろいろ試してみて、美味しい食べ合わせにいたる道は、お菓子とお茶の味や香りの強さ(濃さ)を揃えるといいような気がしています。
例えば
●緑茶と生菓子 繊細な旨味×上品な甘さ
●ほうじ茶とそばぼうろ 香ばし×香ばし
その他、チョコレートを使ったお菓子には濃くいれた紅茶にミルク、フルーツを使った軽めのお菓子には、繊細な香りのファーストフラッシュダージリンなど。
余談ですが、世界的に大人気のカトラリーブランド「クチポール」のこちらのサイズ、和菓子にも合うので重宝してます。黒文字のかわりになります。
お茶は嗜好品ですので、おいしいと感じるのも人それぞれ。
でも丁寧に淹れたお茶はやはりちょっと違うので、ぜひ一度道具や方法に少しだけ気を付けて淹れてみていただくと、いつもとは違った味に出会えるかもしれません。