伝統が継承された“風車のナイフ” ドイツ発「ロベルト・ヘアダー」

お料理には欠かせないアイテム「包丁(ナイフ)」。皆さんはどんなものをお使いでしょうか・・・?

包丁の切れ味によって、お料理の「仕上り」や「味」が変わる・・・というのは、嘘のような本当の話。

今回は、私も大好きなドイツの老舗刃物ブランド「ロベルト・ヘアダー」についてお話ししたいと思います。
私と一緒に、しばしドイツへファクトリーツアーに出かけましょう!

中世から刃物作りで世界的に有名なドイツの街・ゾーリンゲンに1872年に創業された「ロベルト・ヘアダー」社。
第二次世界大戦中、街全体が爆撃によって被害を受け、多くの刃物工場が破壊された中、奇跡的に被害を受けることなく、約150年前の創業当初から、今も変わらぬ自社工場でナイフを作り続けています。

ゾーリンゲンは、ドイツの中心地 フランクフルトから電車で約2時間ほど離れた自然豊かな場所にあります。
最寄り駅を降りると「ゾーリンゲンにようこそ!」という大きなモニュメントがお出迎え。

都会的なフランクフルトとは違い、ゾーリンゲンには伝統的な装飾が施された古い建物が現存し、街全体はとても穏やかな空気が流れています。
右側の画像は、刃物の街ならではの風景。街中にある街灯や噴水などに、実際に刃物の研ぎに使われていた “研石” が再利用されています。

ゾーリンゲン駅から15分ほど歩くと、ロベルト・ヘアダー社に到着!
創業当時から今も変わらぬ姿。とても趣のある社屋&工場です。

ロベルト・ヘアダーのロゴにもなっている “風車のマーク” は、風力で研石を回していた頃の名残で、ヘアダーのナイフは別名「風車のナイフ」と呼ばれています。 

今までご紹介したブランドと同じく、ロベルト・ヘアダー社もマシンメイド+ハンドメイドのハイブリッドな製造方法で、1つ1つ丁寧に製造されています。こちらの写真は型抜きしたナイフのベースに、ロゴマークを1点1点刻印している様子です。全製造工程を、自社工場で行っています。

ナイフ製造にも、とても多くの工程があるのですが・・・少し簡単にお話ししていきたいと思います。型抜きしたナイフのベースは、高温の炉で「焼き入れ」し、その後 低温の炉でゆっくり「焼き戻し」を行います。時間をかけてこの作業を行うことで、硬度+弾力性を兼ね備えた刃材が完成します。

「焼き戻し」が終わった刃材は数工程を経た後、いよいよ「刃付け」の工程へ。ヘアダー社で代々使用されている秘伝の研ぎペースト(写真 右側)をつけ、熟練職人が1本1本手作業で刃付けの作業を行います。

ロベルト・ヘアダー社のナイフの最大の特長は、「ゾーリンゲンのナイフ」の身元証明とも言われる、刃が薄く・くさび形の仕上がりになる伝統技法 “ゾーリンガー・デュンシュリフ技法”(イラスト 左側)
実は現在・・・この伝統技法を守り続けているのはロベルト・ヘアダー社のみ!

左側の写真は、刃先の仕上がりを確認するために職人が行っているテストの様子。鉄のリングに当てられた刃先がさざ波のように光っているのがわかりますでしょうか・・・この薄さと弾力性があるからこそ、「抜群の切れ味」と「使い心地の良さ」を生み出すことができます。

「刃付け」の工程が終わると「柄を取り付ける」工程へ。
刃材と木柄をリベット留めするためにハンマーで叩くのですが・・・木柄を傷つけることなく確実に留めていく作業は、まさに熟練職人のなせる技!

最後は「ハンドルの磨き」の工程へ・・・
防水・つや出し効果のある、亜麻仁油などを配合した研磨ペーストを塗り込みながら磨き上げて・・・完成です!

 

ここからは、私も大好きなアイテムを数点ご紹介させていただきます!

こちらはロベルト・ヘアダーのアイコン的な存在でもあり、人気No.1アイテムの「オールドジャーマン」
刃先が丸みをおびた優しい形状のナイフは、食卓でパンやチーズ、果物などの食材を切り分けるだけでなく、ジャムやバターをつけるのにも活躍してくれるナイフです。別名 “朝食用ナイフ” と呼ばれることも。創業当初より形状が変わることなく製造され、愛され続けている伝統的なナイフです。

こちらは「クラシック キッチンナイフ」
刃が小振りなナイフは、まさに自分の手の延長と言っても過言ではありません。使いこなすコツは、写真のようにしっかりと握りこんで使うこと!

皮むきやヘタ取りなどの食材の下準備から、切る・刻むまで、さまざまな工程をこなすことができます。キッチンだけでなく、食卓でハムやチーズ、果物などの食材を切るのにもおすすめ◎

ヨーロッパのナイフの基本は小型ナイフにあり、お料理に関わる全ての工程を、まな板を使わず、このような小型のナイフだけで完結させることも。毎日の必需品です。

こちらは「ブレッドナイフ」
パンの種類が豊富なドイツならではのナイフで、硬いパンから焼きたての柔らかい食パン、大きなバゲットからサンドイッチの切り分けまで◎長い刃はさまざまなシーンで活躍し、刃の持つ適度な重量感と抜群の切れ味で、驚くほどスムーズに切ることができます。

パンくずも出にくく、断面が美しいのはロベルト・ヘアダーのナイフだからこそのクオリティ。1度使ったら手放せなくなります・・・!

 

ロベルト・ヘアダー社のナイフは、ドイツの伝統が今日まで受け継がれた、まさに至福の逸品。
使い心地抜群のナイフは、毎日のお料理や食卓の美味しさをアップするための必需品です。
思わず「選んで・使ってしまう」毎日の相棒に、是非 ロベルト・ヘアダーを!

shiho.s
Writer Profile

shiho.s

&(COOK)の中の人です。&(COOK)ではデザイン周りとコンテンツ制作、撮影でお料理を作ったりしています。また Y-YACHT プライベートブランドの担当もしています。
お料理大好き。デザイン大好き。モノづくりに興味津々。

&(COOK)を通して、「暮らし」と「食」がいつもより楽しくなる情報や、大好きなアイテムやブランドの素敵なエピソードをたくさんお伝えしていきたいと思います。

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