【現地取材】「1mmの目盛り」にこだわり。新潟・宮﨑製作所で見た、土鍋のジレンマを解消し「毎日のごはん」をおいしく変える道具の系譜

土鍋に負けない美味しさを、毎日手軽に。宮﨑製作所の「日本製ごはん鍋」

「美味しいご飯をお鍋で炊きたい」
そう願うとき、多くの人が思い浮かべるのが「土鍋」です。しかし同時に、一人の生活者として「重くて出し入れが大変」「焦げ付いた後のお手入れが億劫」というジレンマに直面し、結局は特別な日にしか出番がなくなってしまった……という悩みをよく耳にします。

「最高のごちそう」と、「毎日の手軽さ」。これまで両立し得なかったこの二つの願いを、日本の職人技で見事に結実させたごはん鍋があります。

開発段階で土鍋と何度も炊き比べを行い、作り手自身が「これは本当に美味しい」と胸を張るほどの炊き上がり。それでいて、毎日の食器洗いと同じようにサッと洗える扱いやすさ。 この画期的なごはん鍋の背景には、創業から65年近く、日本の家庭料理を支え続けてきた老舗道具メーカーの誇りと、職人たちの「1mm単位の執念」の物語がありました。

 



目次

 

取材場所:株式会社宮﨑製作所 本社・工場(新潟県燕市)
取材者:ワイ・ヨット ストア 編集部

 

「長く使える良いもの」を。1960年創業の老舗が提案する、家庭料理を支える道具

 

ものづくりの街・新潟県燕市1960年に産声を上げた宮﨑製作所(当時の名称は宮崎プレス)。創業当時、祖父である創業者が掲げたのは、「安物には走らず、長く使える良いものを使ってほしい」という強い信念でした。

かつてはギフト用のシーズン品などを下請けとして製造していた時代もありましたが、「これでは同じものを長く使い続けてもらうことができない」と一念発起。百貨店などで定番として長く愛される自社ブランド「オブジェ」を生み出します。

さらに、服部幸應先生と共同開発した「ジオ・プロダクト」シリーズは、「3世代で使えること」を目指して作られました。15年という長期保証を設け、実際に20年、30年と愛用されたお鍋が、磨き直しの修理のために工場へ戻ってくることも少なくありません。「これは何年くらい大切に使ってくださったんだね」作り手と使い手の間で、世代を超えた温かい対話が生まれる関係性を同社は長年にわたって築き上げてきました。

 

ワイ・ヨットの取材にお答えいただいた宮﨑製作所、企画・広報の宮﨑 絢子様。




効率化の時代だからこそ。改めて見つめ直した「家族で食卓を囲む時間」

 

創業65周年を目前に控え、宮﨑製作所が改めて自社のモノづくりを見つめ直した際、大切にしたいコアとして浮かび上がったのは、「家族で食卓を囲む時間の大切さ」でした。

現代は共働き家庭も増え、時短や効率が求められる忙しい時代です。毎日の家庭料理を作るのは、本当に大変な労力が必要になります。しかし同時に、手作りの温かい家庭料理があり、みんなで食卓を囲む時間は、子供や家族の心を豊かにしてくれるかけがえのないものです。

「家庭料理が次世代にも続いていくことを、道具の力でサポートしたい」時代に合わせて軽さや扱いやすさをアップデートしながらも、創業時から変わらない「家庭の料理が美味しくなる、長く使える道具」への想い。この不変のテーマと柔軟な進化が結実し、現代のライフスタイルに合わせた「新しいごはん鍋」のプロジェクトが始動したのです。



職人の手仕事が生み出す、どこか愛着の湧く滑らかな曲線

 

一見すると、現代のキッチンに馴染むスタイリッシュで美しい佇まいのごはん鍋。しかし、その製造工程には、燕三条の職人たちの手仕事による温もりがたっぷりと注ぎ込まれています。

お鍋の縁(フチ)の滑らかな曲線(Rと呼ばれる丸み)や、細部の丁寧な仕上げなど、機械だけでは決して生み出せない繊細な調整が、職人の手によって随所に施されています。 大量生産の無機質な調理器具とは違い、毎日触れるたびに、どこか愛着の湧く手作りのような温もりを感じていただけるはずです。


 

「至高の1mm」を求めて。自社工場だからできた、金型との果てなき格闘

 

このお鍋の「美味しさ」を決定づけている最大の秘密であり、他にはない最大の特徴が、内側に刻まれた「専用目盛り」の存在です。

開発段階では、お米を炊く際の理論上最適な水分量とされる「お米の1.1倍の水」が入る位置に、最初の目盛りの型を作りました。しかし、実際にその目盛り通りに炊いてみると、なぜかご飯が硬く仕上がってしまったのです。

ここで妥協しないのが、宮﨑製作所の職人たちでした。
「どこが一番美味しい水加減なのか」を探るため、自社工場の職人たちが立ち上がります。金属の金型を「1mm単位」で少しずつ上げては炊き、今度は削って下げてはまた炊き比べ……という、果てしない微調整を何度も繰り返したのです。

もしこれが外部の工場への委託生産だったなら、コストと手間の面から到底実現できなかったであろう執念。自社工場で職人が手作業で金型を直に微調整できる環境があったからこそ、毎日の美味しいご飯を約束する「至高の1mmの目盛り」が完成しました。



デザイナーの提案にあえて逆らった、日常使いのための「フチ」

 

「どんなに美しいデザインのお鍋でも、洗いづらかったり使い勝手が悪かったりすれば、長く愛用していただくことはできない」これが、使い心地を一番に考える宮﨑製作所の譲れないこだわりです。

そのこだわりが顕著に表れているのが、お鍋の「縁(フチ)」のデザインでした。 開発時、デザイナーからは「フチがない方が、見た目がすっきりとモダンで綺麗になる」という提案がありました。しかし、作り手自身がお鍋の中でお米を研ぐ際、日常の「水切れの良さ」を重要視していたため、フチがないと水が切りにくく、使い勝手が悪くなると判断したのです。

宮﨑製作所は、表面的なデザイン性よりも、毎日使う上でのストレスをなくすことを最優先し、あえてこの「フチ」を残す決断をしました。これこそが、生活者の目線に立ったモノづくりの証です。

 

 

計量カップよ、さようなら。炊飯のハードルを極限まで下げる魔法の目盛り

 

このごはん鍋がもたらすのは、土鍋級のふっくら艶やかな炊き上がりだけではありません。道具として行き届いた「使い心地の良さ」こそが、真の魅力です。土鍋のように重たくなく、お手入れに特別な気を使う必要もありません。毎日の食器洗いと同じようにサッとスポンジで洗えるため、「片付けが面倒だから、今日はお鍋で炊くのをやめよう」というためらいを綺麗に無くしてくれます。
さらに、日々の炊飯のハードルを劇的に下げるのが、職人たちが執念で生み出した「専用目盛り」の実用性です。
使い方は驚くほどシンプル。
お鍋の中でお米を洗い、あえて残した「フチ」のおかげで、スムーズにザルへと水を切る。
その後はお米をお鍋に戻し、内側の目盛りに合わせて水道から直接お水を注ぐだけ。
計量カップでお水を正確に量るという、ちょっとした、しかし毎日のこととなると煩わしいあの一手間が、一切不要になるのです。「お鍋でご飯を炊くのは難しそう、面倒くさそう」という心理的ハードルを、このお鍋は極限まで下げてくれます

 

毎日がんばるあなたへ。料理の労力を理解し、そっと背中を押してくれる伴走者

 

毎日の料理は、本当に大変な大仕事です。だからこそ、このお鍋は単なる調理器具として作られたわけではありません。
「毎日料理をするあなたの労力を誰よりも理解し、そっと寄り添い、背中を押してくれる頼もしい伴走者でありたい」
そんな宮﨑製作所の温かい願いが、このお鍋の軽さに、洗いやすさに、そして1mmの目盛りに込められています。
「土鍋級の美味しさを、ぐっと身近なハードルで、毎日味わえる日常使い」を形にした一品。忙しい日々の暮らしに無理なく寄り添い、いつもの食卓をワンランク上の美味しさへと導きます。
極限までハードルが下がったこの新しいお鍋で、ぜひ一度、ご飯を炊いてみてください。温かい湯気が立ち上る炊き立てのご飯をひと口頬張った瞬間、その手軽さと美味しさにきっと驚き、毎日の食卓がさらに心豊かな時間へと変わっていくはずです。

 

 




新潟県燕市にある宮﨑製作所。 「本当に価値あるものを届けたい」という信念のもと、 お客様に永く安心して使って頂けるものづくりを進めるメーカーです。 素材選び、確かな技術、信頼の品質で、日本製にこだわる調理道具を創っています。 日本人の繊細さを感じさせる美しい急須で 心あらわれる一杯をお楽しみ頂けます。

 




【調理から保存まで一つで完結】宮﨑製作所の新商品「おかず鍋」が新登場。

「つくる、しまう、またおいしい。」 ワイ・ヨット ストアで以前から多くの方に愛されている宮﨑製作所の「ごはん鍋」。 その炊き上がりの感動をそのままに、この度、待望の新しい仲間「おかず鍋」と「かこい鍋」が加わりました。


Writer Profile

bashi

17歳の黒猫と暮らし、最近はヘルシーな自炊を心がけています。
道具にはこだわりがあるものの、キッチンツールはまだまだ初心者。
新米スタッフならではの新鮮な視点で、皆さんと一緒に、お気に入りを見つけていければと思います。

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