【現地取材】なぜ弱火でおいしさが引き出されるのか?大阪・ヤマコーの「鍛造」現場で見た、ずっとそばに置き続けたい道具を紡ぐ職人の誇り

「弱火でほったらかし」がご馳走に。お肉がより香ばしく、ジューシーに焼ける理由

フライパンひとつで、いつもの料理がここまで変わるのか。そんな驚きを体験してみませんか? 「ヤマコー TANZO」のフライパンでお肉を焼くと、厚みのある鉄が熱を蓄え、外はカリッと、中は旨みを閉じ込めて焼き上げます。特別な技術はまったく必要ありません。食材を入れ、弱火でじっくり火を通すことで、素材本来の味を活かした料理に仕上がります。 この独自の性能を持つフライパンの背景には、一朝一夕には語れない泥臭いドラマがありました。大阪の町工場が、自らの存続をかけて挑んだ7年間の軌跡。これは単なる調理器具の紹介ではなく、日本のモノづくりの魂と、私たちの暮らしを豊かにしたいと願う、温かくて途方もない情熱の記録です。

 


目次

 

取材日:2026年4月某日
取材場所:ヤマコー株式会社 本社・工場(大阪府東大阪市)
取材者:ワイ・ヨット ストア 編集部

 

「高い信頼性が求められる部品」を作り続けて80年。町工場が抱いた危機感

 

製造元である「ヤマコー株式会社」は、1946年の創業以来、モンキーレンチの製造から始まり、自動車のクラッチやロボットの関節、鉄道の架線など、絶対に壊れてはならない「高い信頼性が求められる部品」を作り続けてきた町工場です。

 彼らの最大の武器は、世界的にも珍しい「熱間鍛造(ねっかんたんぞう)」という技術。1,250℃に真っ赤に熱した鉄塊を、2,000トンの凄まじい力を持つエアスタンプハンマーで何十回も叩き上げます。 しかし、どれほど高い技術を持っていても、下請けの部品製造の世界では「言われたものを、いかに安く大量に作るか」が求められがちです。3代目として会社を引き継いだ山本恵津子社長は、「人も機械も疲弊していく量産型のモノづくりで、この先も次へつなげていけるのだろうか」という強い危機感を抱いていました。

工場内で、1250℃に熱された真っ赤な鉄塊を、巨大なエアスタンプハンマーで打つ瞬間。飛び散る火花と熱気がダイナミックです。


「重い、錆びる、面倒」を解決したい。キャンプ好き社長の挑戦

 

「自分たちの確かな技術で、お客様に直接喜んでもらえるものを作りたい」。その答えのヒントは、山本社長自身の趣味であるキャンプの中にありました。 様々な鉄のフライパンを使用した社長は、鉄の道具が持つ「圧倒的な美味しく仕上がる力」と、手入れをして「育てる楽しみ」に魅了されます。

しかし同時に、一人の生活者として「重すぎる」「すぐに赤サビが出る」「手入れが面倒」という鉄特有のジレンマも痛感していました。 「忙しい現代の女性でも、手軽に毎日使える鉄の道具は作れないだろうか」。ある時、自社の工場を見渡してハッと気づいたそうです。「うちには、頑丈な鉄を作る『鍛造』の技術があるじゃないか」と。 人工的なコーティングに頼らず、鉄本来の力で旨みを引き出し、長く愛用できる道具を作る。長年培ってきたモノづくりの矜持を胸に、使い手の悩みを同時に解決する究極のフライパン作りという、途方もない挑戦が幕を開けたのです。

ワイ・ヨットの取材にお答えいただいたヤマコーの山本社長。

 


試作は5kgの鉄塊。5人のデザイナーと決別して辿り着いた美しさ

 

しかし、何十年も工業用部品を作り続けてきた屈強な職人たちにとって、「フライパンを作る」というミッションは戸惑いしかありませんでした。最初に出来上がった試作品は、まるで「砲丸投げの玉」を半分に割ったような、重さ5kg弱もある分厚く武骨な鉄の塊だったそうです。 そこから、一般の家庭で使えるサイズとデザインに落とし込むための苦難の道が始まります。特に立ちはだかったのが「デザインの壁」です。外部のデザイナーに依頼するも、作る側のコストや工程を無視した見た目だけのデザインに翻弄され、5人ものデザイナーと決別することもあったと言います。
途方に暮れていた時、世界的デザイナーである喜多俊之氏と出会います。彼からかけられた「使い手と作り手のためのデザインが、一生大事にしてもらえる長続きするものだよ」という言葉に、山本社長は涙が出るほど救われました。 また、「手入れの面倒さ」をなくすための工夫にも執念を燃やしました。届いたその日から使えるよう、工場で油を馴染ませる加工を済ませてから出荷する仕組みを構築。これだけでも1年半の歳月を費やし、あらゆる植物油でテストを行い、最適な方法を導き出したのです。

 

「え、これ欲しい!」の一言が、無骨な職人たちの誇りに火をつけた

 

このプロジェクトを支え、自ら進化させたのは、社内で「ハンマーマン」と呼ばれる職人たちでした。 彼らの意識を劇的に変えた出来事があります。完成したフライパンを持って出展した一般向けの展示会です。山本社長は、普段は工場にこもっているハンマーマン全員にお揃いのエプロンを着せ、ブースに立たせました。

 「え、これ欲しい!」自分たちが叩き上げた鉄を手にしたお客様の輝くような笑顔と、直接かけられる感謝の言葉。それは、部品作りでは決して味わえなかった感動だったと言います。 お客様からの生の声を持ち帰った職人たちは、「もっと使いやすくするにはどうすればいいか」と自ら議論を交わし始めました。「女性でも片手で扱いやすいように」と、ハンマーを操る足元のペダルで絶妙な強弱をつけ、100g単位の軽量化を目指して金型を何度も作り直す執念を見せたのです。ハンマーマンたちの誇りと意地が、工業製品を暮らしに寄り添う道具へと昇華させていきました。


 

異例のグランプリ受賞。真っ白なブースに並べた3枚のフライパン

 

構想から6年。ついに完成した鍛造フライパンを携え、日本最大級の生活雑貨の国際見本市「東京インターナショナル・ギフト・ショー」へ出展しました。 急遽決まった出展だったため、真っ白な壁にフライパンをただ3つ並べただけの簡素なブース。しかし、その圧倒的な存在感と背景にあるストーリーは、見る者の心を打ちました。 結果は、見事グランプリを受賞。審査委員長から「製造業がBtoCに出てくるのは並の苦労じゃない。その中でこれだけ評価されてグランプリを取るのはすごいことだ」と声をかけられた瞬間、山本社長はそれまでの苦労が報われ、人目もはばからず号泣したそうです。

 

ギフトショーで優勝した際に獲得したトロフィー

 

 

2,000トンで鉄を叩き直す。美味しさを生む「熱間鍛造」の力

 

なぜ、ヤマコーの「鍛造 フライパン」で作る料理は格別に美味しいのでしょうか。その答えは「熱間鍛造」にあります。 1,250℃に熱した鉄を2,000トンで叩き上げることで、鉄の不純物や酸化被膜が火花とともに吹き飛び、極めて純度が高く組織が緻密な鉄へと生まれ変わります。これにより熱伝導率が格段に上がり、フライパンの隅々まで均一な温度を保つことができるのです。だからこそ、強火は必要ありません弱火と余熱だけで中までしっかり火が通るほったらかし調理が可能になります。 さらに、緻密に鍛えられた鉄は非常に強靭で、IH調理器特有の熱集中を受けても底が歪みにくい構造になっています。

 

IHやガスコンロはもちろん、魚焼きグリルやオーブン、さらには焚火でも使える万能調理器です。

 

 

長く愛用いただける堅牢さと、育てやすさ。コーティング不要、タワシで洗える鉄

 

世の中に溢れるコーティングのフライパンは便利ですが、数ヶ月で剥がれて使い捨ててしまうことに虚しさを感じたことはありませんか? TANZOのフライパンは人工的なコーティングを一切していないため、コーティングが剥がれる心配がありません届いた時から植物油が馴染んでいるため、面倒な使い始めの作業も不要です。 使い終わったら、食器用洗剤をつけてステンレスたわしでゴシゴシ洗っても平気です火にかけて水気を完全に飛ばすだけで手入れは完了します。取っ手のないスタイリッシュなデザインは、そのままお皿として食卓へ出せるだけでなく、魚焼きグリルやトースターにもすっぽり入ります。使う油によって少しずつ色合いを変え、あなただけの道具へと育っていく過程も楽しめるんです。

食器用洗剤をつけてステンレスたわしでゴシゴシ洗っても大丈夫です。

 

 

忙しい日こそTANZOが味方。家族に寄り添い、料理を楽しく変える

 

「忙しくて疲れた日も、TANZOに食材を入れてほったらかすだけで、美味しい料理と満たされる時間が待っている。このフライパンには、そんな『家族の一員』のように寄り添う温かさがあるんです」と山本社長は微笑みます。 この一枚を選ぶ意味。それは、ただ調理をするだけでなく、共に時を重ね、あなただけの道具へと育てていく楽しみを味わうこと。初めて鉄の道具を手にする方にも、心からおすすめしたい理由がここにあります。

 

まずはステーキで、その焼き上がりの違いを体験してください。余熱で肉汁を閉じ込める、理想的な火入れと鉄鍋ごはん

 

TANZOの実力を体感するなら、まずはシンプルなお肉料理を。分厚いステーキ肉も、両面を約30秒ずつ焼いて火を止め、余熱で数分置いておくだけ。鉄の蓄熱が芯まで優しく熱を届け、お肉をしっとりジューシーな理想の状態に焼き上げます。 また、魚焼きグリルにフライパンごと入れ、チキンと野菜を一緒に焼くグリル焼きもおすすめです。外はカリッと、中はジューシーに仕上がります。さらに、ボウルタイプ(深型)を使えば、お米と水を入れてふっくらとご飯を炊いたり、冷凍のシーフードミックスを入れるだけで豪華なパエリアが完成したり、本格的なスパイスカレーが美味しく仕上がったりと、毎日の食卓が豊かに彩られること間違いなしです。

 






大阪府東大阪市で1946年に創業した「ヤマコー株式会社」は、自動車部品やロボット関節など、絶対に壊れてはならない「高い信頼性が求められる部品」を支えてきた熟練の町工場です。1,250℃の熱と2,000トンの圧力で鉄を叩き上げる、世界でも稀な「熱間鍛造」技術を武器に、現在はその強靭さと熱伝導率を活かした究極のフライパン作りへ挑戦。日本の産業を支えてきた職人の誇りを、現代の暮らしに寄り添う「長く、深く、付き合える道具」へと昇華させています。

 




新発売したTANZOフライパン&ボウルの2つの商品についてざっくり紹介

「鉄のフライパンは難しい」という常識を覆し、弱火でじっくり熱を通すことで素材の力を引き出す「TANZO」シリーズ。 それぞれの魅力や日常での活用アイデアを詳しくご紹介しています。

驚きの熱伝導率が生む「外カリ・中ジュワ」の仕上がりや、忙しい毎日を支えるお手入れの簡便さなど、あなたの暮らしをどう変えるのか、その全貌をぜひチェックしてみてください。




使い方の疑問はFAQで解決!

「鉄の道具は初めてで、うまく使いこなせるか不安……」という方もご安心ください。サビへの対処法から、IHでの賢い使い方まで、TANZOにまつわるよくあるご質問を用意しました。ぜひチェックしてみてください。


Writer Profile

bashi

17歳の黒猫と暮らし、最近はヘルシーな自炊を心がけています。
道具にはこだわりがあるものの、キッチンツールはまだまだ初心者。
新米スタッフならではの新鮮な視点で、皆さんと一緒に、お気に入りを見つけていければと思います。

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